TOPCFJ・プロミスが悪意の受益者となるか否かを判断した最高裁判決
みなし弁済成立の要件のひとつとして、書面の交付と記載があります。そして、改正前の貸金業法17条により金銭消費貸借の契約時に交付を義務付けられていた、いわゆる「17条書面」には、「返済期間及び返済回数」及び各回の「返済金額」の記載が義務付けられていました。しかしSMBCコンシューマー・ファイナンス(プロミス)は平成14年9月まで、CFJは平成16年9月まで、これらの記載をしていませんでした。
貸金業者から、17条書面に返済期間及び返済回数及び各回の返済金額の記載をすることは、借入れと返済を繰り返すリボ契約の場合は不可能であるから、それ以外の内容が記載された書面を提出していれば、みなし弁済規定が適用されるという主張がされることがありました。
これを否定し、リボ契約の場合のように、返済期間とか各返済時の金額などを17条書面(貸付時の契約書)に記載することが不可能であるなら、代わりに個々の貸付けの時点での残元利金について,最低返済額及び経過利息を毎月15日の返済期日に返済する場合の返済期間・返済金額等、返済期間とか各返済時の金額などに準じた事項を記載するべきであると判示したのが、最高裁平成17年12月15日判決(以下、「平成17年判決」と言います。)です。→平成17年判決の内容について詳しくはこちら
上記の最高裁平成17年判決を前提として、プロミス・CFJの悪意の受益者性が争点となった最高裁判決が、平成23年12月15日の同日にふたつ言い渡されました。
CFJは平成16年9月まで、プロミスは平成14年9月までは、17条書面に「返済期間・返済金額等の記載に準ずる記載」をしていませんでした。しかし、このふたつの最高裁判決の原審である東京高裁第20民事部平成22年10月27日判決(cfj)・大阪高裁平成22年12月1日判決(プロミス)においては、貸金業法17条書面に返済期間・返済金額の記載に準ずる記載が必要であると判断された平成17年判決が存在するにもかかわらず、このような「準ずる記載」の有無に関係なく、最高裁平成19年7月13日判決でいうところの「特段の事情」があると判断され、プロミス・CFJは悪意の受益者にはあたらないと判断されていました。
しかし最高裁は控訴審の判断を認めず、プロミス・CFJは平成17年12月15日判決以前においても悪意の受益者にあたると判断しました。
その理由としては、貸金業法17条が17条書面に返済期間・返済金額等の記載をすることを求めた趣旨・目的は、これらの記載により、借主が自己の債務の状況を認識し、返済計画を立てることを容易にすることにあると解されるが、そうであれば、上記平成17年判決に言う「準ずる記載」をすることが上記の趣旨・目的に沿うものであることは、平成17年判決の言渡し日以前であっても、貸金業者において認識し得たというべきであること、また、リボルビング方式の貸付については返済期間・返済金額の記載に準ずる記載がなくてもみなし弁済が成立するとの判例や学説が多数を占めていたとはいえないことなどを挙げています。ここの理由付けは、プロミスとCFJ両方の最高裁判決でほぼ同一の内容となっており、また、アコムの悪意の受益者性を判断した最高裁平成23年12月15日判決ともほぼ同一の内容です。
この判決が言い渡されたことにより、プロミスについて平成14年9月の時点で、CFJについて平成16年9月の時点ですでに過払いが発生しているような取引においては、プロミス・CFJが悪意の受益者ではないという主張をする余地はなくなったといえるでしょう。
過払い請求において争いとなる点について、以下のページで解説しています。
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