過払い請求訴訟の争点

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過払い請求の争点となる「和解の確定効」

  • 債務を分割払いするという和解が後日の過払い請求の障害となる
  • 「その争いの目的となった事実」には和解の確定効が及ぶ
  • 「当事者が当然の前提としていた事実」には和解の確定効は及ばない
  • 和解の錯誤無効が認められるかどうかが最大の争点

 

過払い請求と和解の確定効

毎月の支払いが滞った時などに、過払金が発生しているにもかかわらず、債務が残っているという前提のもとに、いままでよりも利率や支払い月額を下げて分割払いしていく、という内容の和解がされることがありますが、この和解が、後の過払い請求の障害となることがあります。

いったん和解契約を締結すると、その争いの目的となった事実については、「和解の確定効」というものが生じ(民法696条)、その事実に関して錯誤があったとしても、無効であるという主張が許されなくなります。金融会社は、過払い金の問題は和解によって解決済みであるし、また、和解契約には確定効があるから和解契約の錯誤無効を主張することも許されない、などと主張します。

民法696条 当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ、又は相手方がこれを有しないものと認められた場合において、その当事者の一方が従来その権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、又は消滅したものとする。

和解の確定効の及ぶ範囲

和解の確定効は、「その争いの目的となった事実」について生じます。たとえば、貸金が100万円なのか50万円なのかが争われ、お互い少しずつ譲歩して75万円支払うという内容の和解となった場合には、貸金の額が「その争いの目的となった事実」です。

もしこのような和解をした後に、貸金が50万円しかなかった決定的な証拠が見つかっても、和解を錯誤により無効とすることはできません。この和解契約で争いの目的となった事実は、貸金の額であるから、貸金の額についての錯誤を原因として、和解契約を無効とすることはできないのです。

これに対して、和解するにあたって、「当事者が当然の前提としていた事実」については、和解の確定効は及びません。次のような判例があります。

最高裁昭和33年6月14日判決の事案です。ジャムの代金の支払い義務についての和解が成立した後に、ジャムが粗悪品であったことが判明しました。ジャムの買主が和解契約の錯誤無効を主張しましたが、売主は和解の確定効を主張して争いました。このようなケースで、最高裁は、和解契約の錯誤無効を認めました。

これは、「その争いの目的となった事実」はのジャムの代金の支払い義務があるかどうかであり、ジャムが一定の品質を有することは当事者が当然に前提としていたためです。

当事者双方とも、ジャムは一定の品質を有しているという前提で和解したのであり、ジャムの品質は「その争いの目的となった事実」ではないから、ジャムが粗悪品であった(ジャムの品質に錯誤があった)ことを理由とする、和解契約の錯誤無効の主張は認められたのです。

和解契約の錯誤無効は認められるか

では、貸金業者と借主の間で、過払金が発生しているにもかかわらず、債務が残っているという前提のもとに、いままでよりも利率や支払い月額を下げて分割払いしていく、という内容の和解がされた場合、その和解契約の「その争いの目的となった事実」は何で、「当事者が当然の前提としていた事実」は何なのでしょうか。

たとえば、借主が利息制限法による引き直し計算ができるなどは知らず、約定残債務をいままでより緩やかな条件で(利率や支払い月額を下げて)分割払いするという内容の和解契約がされたとします。このような和解契約について、債務額について利息制限法の引き直し計算がされていなかったことを理由として、和解契約の錯誤無効を主張できるでしょうか。

この場合、借主は、和解契約締結時には、利息制限法による債務額の減少は生じておらず、約定債務額が残存するものと思い込んでおり、ただ毎月の支払いがキツイので何とかしたい、と思っていたわけですから、和解契約において「その争いの目的となった事実」は、今後債務をどのように支払うかという、「今後の支払い条件」です。

借主に利息制限法の知識がない以上、残債務額は、争いの対象ではなく、「当事者が当然の前提としていた事実」にあたります。したがって、残債務額の正当性について和解の確定効は及ばないため、残債務額についての錯誤があったものとして、和解契約の無効の主張ができるということになります。

ただし、裁判では、和解契約の錯誤無効の主張が認められるのは、実は簡単ではありません。錯誤の立証が困難であるためです。和解時に取引履歴が開示されておらず、利息制限法の計算はされていないから、債務の額については争いの目的となっていなかったということ等を、証拠で裏付けることで事実認定してもらう必要があります。

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